●現預金資産はほどほどに (借金しよう パート2)
さてお待たせ致しました。借金しようパート2・・・

あなたは現在、銀行にいくら預けていますか?

子供の頃に貰ったお年玉は無駄使いするなと、親に手を引かれて銀行へ・・・
すると虎の子の現金が、かわいいキャラクター貯金箱にすりかわった記憶を持つ人も少なくないであろう。
三つ子の魂百までよろしく、日本人には貯蓄習慣というDNAが組み込まれているのではないかと私は思う。データ上からも日本人の貯蓄依存率は確か世界一を誇っていたと記憶する。
それにひきかえキーウィは・・・どうも昔の江戸っ子のイメージか?
現金を殆ど(?)持っていない感じが否めない。事実、お財布の中の紙幣は_ドル札のみ数枚程度が大半ではないだろうか?

ニュージーランドの税制は総合課税である。つまり給与所得や事業所得だけでなく、それプラス、現金資産や株式債券等から発生する収益も年間所得として、合算した総合所得に対して税率が決まる仕組みだ。
そしてニュージーランドの税率は、個人の場合3段階である。
銀行から送られる残高報告書には利息に対し19.5%の源泉課税が既に相殺されているが、年間所得額によっては、更に追加の支払いが必要となるケースもあるのだ。

所得税率表
19.5% 33.0% 39.0%
所得額 税金 控除後 所得額 税金 控除後 所得額 税金 控除後
$12,000 $2,340 $9,660 $38,001 $7,410.33 $30,590.67 $60,001 $14,670 $45,330.61
$24,000 $4,680 $19,320 $39,000 $7,740 $31,260 $61,000 $15,060 $45,940
$25,000 $4,875 $20,125 $40,000 $8,070 $31,930 $62,000 $15,450 $46,550
$26,000 $5,070 $20,930 $41,000 $8,400 $32,600 $63,000 $15,840 $47,160
$27,000 $5,265 $21,735 $42,000 $8,730 $33,270 $64,000 $16,230 $47,770
$28,000 $5,460 $22,540 $43,000 $9,060 $33,940 $65,000 $16,620 $48,380
$29,000 $5,655 $23,345 $44,000 $9,390 $34,610 $66,000 $17,010 $48,990
$30,000 $5,850 $24,150 $45,000 $9,720 $35,280 $67,000 $17,400 $49,600
$31,000 $6,045 $24,955 $46,000 $10,050 $35,950 $68,000 $17,790 $50,210
$32,000 $6,240 $25,760 $47,000 $10,380 $36,620 $69,000 $18,180 $50,820
$33,000 $6,435 $26,565 $48,000 $10,710 $37,290 $70,000 $18,570 $51,430
$34,000 $6,630 $27,370 $49,000 $11,040 $37,960 $80,000 $22,470 $57,530
$35,000 $6,825 $28,175 $50,000 $11,370 $38,630 $85,000 $24,420 $60,580
$36,000 $7,020 $28,980 $51,000 $11,700 $39,300 $90,000 $26,370 $63,630
$37,000 $7,215 $29,785 $52,000 $12,030 $39,970 $95,000 $28,320 $66,680
$38,000 $7,410 $30,590 $53,000 $12,360 $40,640 $100,000 $30,270 $69,730
      $54,000 $12,690 $41,310      
      $55,000 $13,020 $41,980      
      $56,000 $13,350 $42,650      
      $57,000 $13,680 $43,320      
      $58,000 $14,010 $43,990      
      $59,000 $14,340 $44,660      
      $60,000 $14,670 $45,330      

ケーススタディ1: 月収3,000ドル

年収36,000ドルの所得者が、仮に7万ドル(約500万円)の現金を定期預金で運用していたとしよう。解り易くする為、ここではリベート等の控除は切り離そう。現行の定期預金レートでは、定期預金から得られる利息を加えると、年収は4万ドルを超える。従って所得に対する税率も、銀行から源泉徴収される税率も、共に19.5%ではあるが、税金控除前の所得額は合計4万ドルを超える為、税率は33%が適用となってしまう。
従って、約2,000ドルの追徴となり、月収のほぼ67%分を追加納税しなければならのだ。追徴納税を回避したいと誰もが思うは当然であろう。
給与所得者の場合、タックスリターン(確定申告)が簡略化された為、他に所得がない場合は申告不要となっているが、申告漏れを後日指摘されない様に注意が必要である。日本には過去、300万円までの預金に対する銀行利息は非課税とされる優遇税制(通称:マル優)があったが、総合課税とするここNZではそんな制度はなく、生活保護を受けている人も、納税は免除されない。また、マイホーム購入に適用される住宅取得減税等の優遇税制もない。納税義務は国民、外国人であれ、知らなかったと言い逃れはできない。


タックス・レジデント v/s レジデント・パーミット(滞在許可)


さて、ここで少々補足しておきたい事がある。
納税上での居住者とは、入国管理局や移民局が定義する「レジデント」とは根本的に異なる。海外在住者やロングステイ、親子留学であっても「納税義務あり」となれば、居住者(タックス・レジデント)扱いとされるケースもある。非居住者でも、ニュージーランドで多少の収益があれば、納税義務者としてのレジデントと取り扱われる。
申告漏れが発覚した場合、IRDでは納税者番号を入力するだけで全てが瞬時に判明するのである。


「ザ・マスター・プラン」

ヘラルド紙に興味深い記事が掲載されていた。題して「ザ・マスター・プラン」
不動産投資家のL氏のルールブック、10年間にミリオン級の収益を計上する為の鉄則として以下8項目を掲げている。

Rule 1:買うことを優先せよ (Buy but never sell)
 
賢い投資方法とは、新しい物件を買う為に現在所有する家を売却するのでは単なる交換。投資効果を高める為には、エクイティ(自己資本)を担保として上手に運用すること。

Rule 2:100%借入れをせよ (Borrow 100 percent)
自分の生活を犠牲にすることのない投資を実行したければ、自分のお金を使ってはいけない。つまり裕福なリタイア生活を夢見るがあまり、今の暮らしの楽しみを犠牲にする事は意味がない。

Rule 3:ハイリターンを狙う事 (Go for high returns)
現在のマーケットでは9%のリターンが狙える。従って、たとえ7.5%の金利を支払ったとしても、残りの1.5%でレイツ、保険、修繕費は賄える。給与所得者であれば、実質的な費用ではない減価償却等を控除額(タックスリベート)として活用するべきである。例えリターンが9%以下であってもこの効果を無視してはいけない。勿論、リターンが9%を超えるのであれば、それはボーナスである。またキャピタルゲインも視野にいれよう。シティ中心にはこの両方を狙える物件もある。 

Rule 4:金利のみを支払う事 (Pay interest only)
物件価値は10年に倍になる可能性がある。投資効果を最大限に引き出すには、自分のポケットからの消費は最小限にすること、投資は最大限に。

Rule 5:負債は50〜70%の間に抑える事
投資の出発はマイホームだが、出来れば…頭金は家族から借りて、残りは金融機関から借り受けること。エクイティ(自己資本)が確立されたら、次は少しの注意を払い、負債額を50〜70%の間でコントロールする事。20年前は70%でも心配しなかったが、現在自分は65%が心地よい。資産が増えた今では50%なら、なお安心で、この領域を崩す必要はなくなった。

Rule 6:街中に近い物件を買え。 (Buy as close to town as possible)
キャピタル及びレンタルマーケットは市内に近い所がベスト。

Rule 7:豪華さを基準とせず、より積極的なエリアを買え。
    (Buy in the less glamorous but up-and-coming areas)

ラグジュアリーマーケットは揮発性が高い。良いエリアで豪華でない物件には補修等を施すことによって、物件価値を高められる可能性とレントによるリターンが得られる。

Rule 8:笑顔を忘れない事
これは特に注釈はないが、商売繁盛の夷さまも、福の神はみな笑顔である。 笑顔が幸福を呼ぶ?

以上は要約であるが、原文をお読みになりたい方にはコピーを差し上げます。


インド人N氏の資産形成術


私の友人のN氏は5年ほど前に2ベッドのユニットを購入したが、彼は購入後そこには一度も住まず、キーウィカップルに貸している。そして彼自身は3ベッドのアパートに3人のフラットメイトとシェア生活をしている。理由は単純だ。彼はユニット購入時に住宅ローンを組んでいる。ローンの返済はテナントから入る家賃で賄われているので、金利は勿論、レイツ、修繕費用、テナント募集の広告費は経費として家賃収入から控除できるのだ。つまり、彼所有のユニットは完全にビジネスとしての運用であり、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙っている。
3ベッドのアパートは3人からそれぞれ家賃及び電気、電話代をシェアしているので、多分(?)彼本人が住居費として出費している金額は少ない。
従って、住居に対する出費はかなり低く、貯蓄と節税の均衡を図っている。
借りているアパートのランドロードも、彼自身も、そして彼のフラットメイトもハッピーという構図である。
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04.09.2004 掲載

著者紹介
そといし やよい
(Koru World Services 代表 NZプロパティコンサルタント 兼 仲介ブローカー REINZ正会員)

現在、最もアクティブなNZプロパティコンサルタント
ニュージーランド不動産を日本語で分かりやすく解説したウェブサイト「ニュージーランド不動産A to Z」の筆者。
オークランドの大手デベロッパーであるトニーテイグループの日本マーケット代表を務める傍ら、一般の不動産売買を行う仲介ブローカーとして、業界最大シェアを誇るBarfoot & Thompson Ltd. で初の日本人セールス・コンサルタントでもある。
通常のブローカーは限られた地域に限定して活動するが、刻々と変わるオークランドの広域市場を常に把握するコンサルタントであり続ける為に、あえてエリアを限定しないという厳しい課題を自身に課している。
丁寧で納得のいく説明とアフターフォローは、買い手からも売り手からも好評であり、彼女を頼るキーウィのクライアントも急増中。信頼度と期待感は更に厚くなっている。

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