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日本よりも高い! ニュージーランドの家賃

家の購入にしても、賃貸物件を探すにしても、システムも常識も日本と異なるニュージーランド。 全てが全く異なるとはいえませんが、視察にいらっしゃる方や、NZに来たばかりの方は、あまりガチガチ事を構えると???がつきまとう、所詮外国であり、ニュージーランドもその例外ではないと思います。 この曖昧な意味を体感し理解に至るには個人の許容範囲にもよるでしょう。

私事で恐縮ですが、私は東京の某所(23区内)に2LDKのマンションを所有しています。これまでの10年間に、3代のテナントが入れ替わりました。3代目が退去した後、売却を考えましたが、結局再び4代目を迎え入れるにし、8ヶ月ぶりに帰国しました。

帰国して実感したのは、ニュージーランドの家賃は今や日本よりも高いという事実です 。


20パーセント落ちが日本の今の家賃相場?

私は不動産仲介の仕事をしているとは言え、年に数回しか帰国しませんので、賃貸借契約は勿論、家賃の回収も全てプロに任せていますが、売却を視野に入れていたので、4代目が入居するまでに、暫し空白の期間が入ってしまいました。

従って、家賃査定を再びお願いしたところ、知らされた現実は次の通りでした。

  1. 2万円ダウンしなければ、借り手はいない。(8万〜8.5万円)
  2. カーペットは今時、流行らないので、フローリングにリフォームせよ。
  3. 畳、壁紙、襖も全面的に張替え、ドアのペンキも塗りなおす事。
  4. 家具は要らない、邪魔なので撤去せよ。
畳の表替えは当然としても、カーペットはシャンプークリーニングでは不十分というのはショックでした。 また、壁紙も剥がれている箇所もなく、キチンとしたものだったのです。家具ですが、確かに日本の場合、家具なしが普通であることは承知していますが、これまでの10年間、家具付で貸していましたが、傷もありませんし、安い家具ではありません。 家具付と家具なしの家賃価格差はあまりないとの事でしたので、従来通り、家具不要の人には貸さないと決めました。

リフォーム費用は家賃の9.6ヶ月分に相当?

さて、リフォームなしでは貸せないので、担当者の提案に基づいたリフォーム費用の見積を数社から取り寄せたのですが、その費用が新査定家賃の9.6ヶ月分以上に相当することが判明したのです。 テナント側に課す原状回復義務は昨年の法改正以降、かなり限定された範囲しか請求できなくなりましたから、約10ヶ月分に相当するリフォーム費用と賃貸借契約の期間である2年間の収支を考えると躊躇してしまうのも当然ですよね。 

また、テナントが入れ替わる度に、今回のリフォームと同様の状態に戻すのが今の日本の賃貸の常識なのだそうです。 NZの習慣に慣れ親しんでいる私にとって、その現実の理解力は乏しいものでした。

こんな時に役に立ったのが、NZ流のリノベーション手法? デベロッパーで働いている甲斐がここで生かされたのも妙です。

内装業者の意見の一部を変更し、リフォーム予算を5.3ヶ月まで削減する事ができました。

月家賃8万円の日本 v/s 週家賃2万円のNZ

さて、「そこが知りたい!ニュージーランド不動産」家賃相場の実態のグラフを参照して頂きたいのですが、2ベッドルームを借りると仮定した場合、この予算ではいくつかの物件の中から選択するなんて余裕などありません。

2万円の週家賃とは、NZではワンルーム(ステュディオ)マンションの予算です。

貸し手側、大家さんの心理とあえて言い訳しましょう。

私の物件はリフォーム済みです。この物件がオークランドであれば、内装を施さなくとも借り手に困ることはありません。また、内装済みであれば、1万円プラスで貸したいところです。

人間勝手なものです。私はNZ不動産が専門であり、日本のそれは全く専門外ですので、日本のそれを聞かれたり、引き合いに出されても答えようがありませんから、不合理を思われようがディス・イズ・ニュージーランドと解釈して頂いていました。そんな私が今回はディス・イズ・ジャパンを経験させられたのです。

日本で買える2LDKの中古物件はNZの1ベッドルームに相当?

比較するならトコトン比較したいものです。 売却した場合もついでに比較してみました。私の物件は築19年の鉄筋コンクリートです。述べ床面積は約57平方メートル。現在の売却査定価格からオークランドで購入できる物件は1ベッドルームが限度です。

借り手に優しい日本 貸し手に優しいNZ

NZの不動産売買市場は完全な売り手主導型マーケットです。 そして、それは賃貸市場においても同様と言ってもよいでしょう。

一方、不動産投信(リート)が浸透し始めたことにより、日本では、中古物件市場よりも賃貸市場が成熟、それが家賃上昇を抑制しているようです。

つまり、借り手側(テナント)の意見は通りにくく、その反対に日本ではテナントがお客様ですから、如何にテナント様に気に入って頂ける配慮が入居者を獲得する鍵となっており、正に国による逆現象が存在します。

ほんの些細な違いによって人気が左右したり、完璧を求めるニッポンに対して、NZはある意味、いい加減であったりもします。

高く貸せて、物件価格が下落しにくいのがNZ物件

高く貸せるNZ不動産は、投資家にとって好都合ですが、一方、テナントとしては頭の痛い問題です。 同じ値段で日本とNZの賃貸不動産を比較したら、NZは高くて、日本は質が良い上に家賃も安い。 平均年収は日本と比べるまでもなく低いNZで、高い家賃を払い続けるのは如何なものかと、購入を迫れば、私も話しの巧いブローカーに変身しますが、10年前に気に入った賃貸物件を見つけるまでの苦労と、家賃高騰の不安、テナントの居住権が薄い事等々、将来の様々な不安要因が住宅購入に繋がり、後に現在の仕事に至っています。

現在、オークランドの中心部(CBD)の家賃下落及び、価格下落の不安等を抱く方は少なくありませんが、家賃相場にしても、不動産売買相場にしても価格上昇の結果を追うだけでなく、それぞれの下落予想も相対的に考察してみることも一考ではないでしょうか。

賃貸物件をNZに保有して、日本で借家住まいをする

日本の物価は何でも高くて、海外は何でも安いと、内外価格差を意識して大勢が海外で大量に買い物をした時代がありその後、長期のデフレ、買い控えが続きました。 

私は日頃、日本で暮らしていませんので本当の所は分からないのかもしれませんが、今回、8ヶ月ぶりに帰国して感じたのは、昨年から現在の物価は少し上昇している事でした。 そしてその感想を日本の友人数人に投げかけたところ、奇しくも同じ意見でありました。

でも、家賃だけは確実に下落しています。

日本に帰る永住者はダウンサイジングをしてNZにも不動産を残している

最近、日本に帰る永住者からの相談が増えています。 NZ在住暦が長い方ほど、いくつかの物件を保有されておられますが、殆どの方は全てを売却せず、売却しても住まいのサイズを小さくするべく、住み替えをして1つの物件だけ残されています。

日常化した海外旅行 次のトレンドは海外で大家さん?

NZ家賃の高いNZで家賃収入を得て、日本では快適な借家で暮らす。そんな逆の発想をそろそろ視野に入れてみませんか 。


稼働率100%が10年保証されているホテルなら、テナント確保の心配は不要

現在、トニーテイ・グループでは固定家賃8%または純利回り6%を10年間お約束したホテルユニットを分譲販売しています。 10年間はホテル運営費も頂戴しません。 価格はNZ$163,000から、日本在住の方でも住宅ローンを組むことが出来ますし、家賃収入からローン返済も無理なく行えます。 また、NZは勿論、オーストラリア、カナダ等、英国連邦の不動産を所有されている方なら、ホームボンドがご利用になれます。

つまり、ホームボンド社の承認があれば、15%の頭金を差し入れる必要はありません。また、ホームボンド社側の金利はトニーテイ・グループが負担致しますので、ホテル完成後にローンと共に残金を決済して頂くだけです。 

例えホテルの小さな一室でも立派なビジネスです。 NZの大家さんですから、NZへの渡航費の半額、及び滞在費の一部は経費として計上できます。

ご契約の際には、NZ$5,000をご用意下さい。
2005年7月16日 記



ホームボンド

マイホーム等の不動産資産を保有する人に対して、資産保証を供与するサービスの一つ。銀行口座に預金があれば、銀行から残高証明書を発行して貰えますが、現金ではない資産(不動産)については、銀行は対応してもらえません。

新規物件を購入する為の頭金を銀行から借入するのは、相当の担保を差し入れない限り無理ですが、ホームボンド社のギャランティがその代わりを果たします。

詳しくはお問合せ下さい。

今回ご紹介したホテルユニット分譲販売の詳しい説明はこちらからご覧いただけます。>>

著者紹介
そといし やよい
(Koru World Services 代表 NZプロパティコンサルタント 兼 仲介ブローカー REINZ正会員)

現在、最もアクティブなNZプロパティコンサルタント
ニュージーランド不動産を日本語で分かりやすく解説したウェブサイト「ニュージーランド不動産A to Z」の筆者。
オークランドの大手デベロッパーであるトニーテイグループの日本マーケット代表を務める傍ら、一般の不動産売買を行う仲介ブローカーとして、業界最大シェアを誇るBarfoot & Thompson Ltd. で初の日本人セールス・コンサルタントでもある。
通常のブローカーは限られた地域に限定して活動するが、刻々と変わるオークランドの広域市場を常に把握するコンサルタントであり続ける為に、あえてエリアを限定しないという厳しい課題を自身に課している。
丁寧で納得のいく説明とアフターフォローは、買い手からも売り手からも好評であり、彼女を頼るキーウィのクライアントも急増中。信頼度と期待感は更に厚くなっている。

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